pacific 高木延秀 BL小説


王は、挑むように誘うように、三枝の瞳(ひとみ)をのぞき込んでくる。「さっきからそう言ってるだろーが!」。一方的にケリをつけて、真崎が腰をあげる。それがクララの初恋の憧れを、的確(てきかく)に表現する方法だと、演出家としての服部は信じているんだ。「遅かったな。どうした?」。「トオルちゃん」。三十畳ほどの広さがある社長室には、ダークブラウンの大きなソファセットと羽田野と飯島が使うマホガニーのデスクが二台、そして、同じ素材で造られた壁一面を覆う書類棚が置かれている。

小刻みに痙攣する和弥の身体を、宥めるように緩やかに愛撫し、ショックで萎えた和弥自身にも刺激を与える。ここ〈レジェンド〉の営業時間は夜の六時から、深夜の四時までだ。「む、難かしいって」。グラフィック部で長いあいだ、チーフデザイナーの位置にいる木村は、トオルにとって直属の上司であり、またデザイナーとして良き先輩でもある。

DVDになったら観ようかと思っていた外国映画だ。

「おまえは六聖獣の束ねを命じられ、今度は束ねとしてカムイ討伐を命じられた。六聖獣全員ならばさほど苦もなく倒せたカムイを、何故あえてひとりにやらせたのか。それはおまえが持つ神への忠誠と献身を試すためではなかったのか………と」。幸生は管理人や商店街の皆さんから仕入れてきた情報を披露した。大いなる大地には野原や木立や精霊の森があり、遠方には怒りの火山や聖なる頂がいにしえのままの姿で聳そびえていた。「寒ちゃん。これって…」。「顔、殴りたいけど、あなたには……出来ない」。「美しいね、君は」。

じろりと見下ろされ、その視線から逃れるようにそっぽを向く。

約束の時間にはまだ一時間以上ある。ぽかんと開いた口に、ふたたびキスされる。


ボーイズラブ小説作品紹介


バレンタインデーが間近に迫る頃、仕事先で顔を合わせた吉井と、久しぶりに話をしたトオルは、彼が恋人とのあいだに問題を抱えているように感じてしまう。その話を聞かされた飯島は、気にかかる相手だけに放ってはおけず、トオルに黙って吉井のアパートを訪ねた。あらぬ疑いを抱かれないようにと、飯島は気を遣うのだが、吉井のことばかりを心配する様子が、トオルには納得できず……。

タイトル:終わらない週末ブロークン・チョコレート
著 者 名:有馬さつき
レーベル:奪われた白衣
発 行 元:講談社

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